妖精と精霊と人間と

第十七話 墓地。

 それから一週間ぐらいが経っただろうか。しだいに、柳が視界をさえぎり、目の前に古い洋館が見えてきた。屋敷の周りには、綺麗に墓石が並べてあった。大きいものから小さいものまで、さまざまだった。
 洋館に着くと、自然とその屋敷の扉は開いた。屋敷の中に入ると、執事と思われる男性が歩いてきた。いや、正確には浮遊してきたと言うべきだろう。全身は人間の姿だが、その全てが透けているのだ。北斗達は即座に武器を構えた。
 「ノース・グリード・スター様ですね?お待ちしておりました。私ども一同、貴方を歓迎致します。」執事と思われるゴーストは、軽く会釈をしてそう尋ねてきた。北斗が黙ってうなずくと、一瞬口元がニヤッと笑った。そして、こう続けた。「実は、貴方様にお願いがあるのです。この家のゴースト、および、ポルターガイストを葬っていただきたい。時期王である貴方に。」
 「僕で良いのなら、まず貴方から―――」
 「いえいえ、めっそうも無い。さあ、お部屋へご案内しましょう。」
 ゴーストはそう言うと、二階へと上る階段を登った。と言うよりも、滑るように上へ上がっていたと言った方が正しいだろう。そして、順々に部屋わけをしていった。左の奥の部屋から順に、北斗とブラウン、美香とリデロ、デントと明、ラーグウェイと言うように分かれる事にした。ゴーストは、皆にこう言った。
 「本日は、この屋敷でダンスパーティがあります。どうぞ、ご参加なさってください。」
 そういうと、ゴーストはすっと消えていった。
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