妖精と精霊と人間と

第二十話 第一の部屋。

 北斗達が北の城を出てから一週間目、明がさらわれた丘の上に舞い戻った。父の軍と兄の軍が臨戦態勢に入った時、空からプリンシパリティ(人間界の王や教皇などを監視、あるいは、指導する立場にある天使)が何人かの天使と共に北斗達の前に舞い降りた。彼は、一礼するとこう言った。
 「時期王ノース・グリード・スターよ!汝に、我等神とそれに近い者達より命ずる。西の城・ヴィヴァーチェに行き、デーモンキングを倒せ!そのために、そなた達に天使達の羽根を授ける。これで空を飛び、西の城まで向うが良い!以上!そなた達への贈り物と伝達だ。」
 そう言うと、プリンシパリティは天へと帰っていた。残された天使達は、それぞれ馬達と同化した。黒馬には黒の、白馬には白の天使の羽根が生えた。そして、北斗にも同様に羽根が生えた。片方が黒でもう一方が白い天使の羽根が。
 「父上・・・兄上・・・ここは、お任せします!俺たちはデーモンキングを倒し、我が戦友を取り戻してきます。」
 北斗がそう言って飛び立ち、仲間達もその後を追って西の城に着いた時、兵士達の雄叫びが上がった。北斗には、父と兄が自分を笑顔で見送ってくれたかのように見えた。

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