妖精と精霊と人間と

第二十二話 姉。

 階段を上る足音が聞こえる。弟が、私を倒しに来るのだろう。あの日、人から逃げて、里からも逃げて、路頭に迷っていた私を、この森まで連れてきてくれたデーモンキング様。
 〔うら若きエルフの乙女よ。その肌を同胞の血で黒く染め、我に仕えよ。〕
 その言葉に、私は何の抵抗もしなかった。私がダークエルフとなると、彼は私にサキュバスをくださった。サキュバスになるべき人間を・・・。私は、負ける訳にはいかない。けれど、相手はあの弟だ。きっと、私は・・・。
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