妖精と精霊と人間と
 「勝っ、た・・・のか?」
 空が晴れ、日が差してくると、北斗は呟いた。
 「そうよ、北斗!勝った、勝ったんだよ!あいつらに勝ったんだよぉ!」
 美香はそう言うと、しっかりと北斗を抱きしめた。明が寂しそうな顔をしていると、北斗は美香を背に乗せて明の元に向かった。
 「明、美香が好きなのは君だ。」
 あの時、美香は北斗にこう言っていたのだ。
 『明に言っても良いかな?』
 『ダメ!明はダメ!』
 『どうして?』
 『だって、明は・・・・・とにかく、明はダメなの!』
 美香が言わなかったこと、それは『明は美咲が好きだもん!美咲も・・・明が好きだもん・・・』という事である。
 「美香・・・あの・・・」
 「ごめん!ごめんね、明。」
 明に飛びつくと、美香は声を上げて泣いた。
 地表から、民の雄叫びが聞こえる。戦いは今、完全に終ったのだ。千年前の様に、また、次世代の王となる面々が勝ったのだ。
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