妖精と精霊と人間と
第四章 懐かしの我が家
 民の雄叫びが聞こえると、白馬と黒馬、そして、北斗の羽がすっと消え、皆はゆったりと地面に降り立った。
 「ノース!我が息子よ!見事であった。」
 グリードはそう言いながら、北斗を羽で優しく抱きしめた。
 「父上・・・。」
 二人が感動に浸っていると、兄は周囲を見渡した。悲惨な現状が彼の目に飛び込んでくる。傷ついた者を助ける者、死に急いだ者のそばで嘆く者。それしかない大地を見渡すと、エネルは口を開いた。
 「父上、ノース。死者を集めましょう。彼等の供養が、民の苦労をねぎらうよりも先です。魂を早く開放してやらなくては、いつ死人となって蘇るか解りません。」
 エネルの言葉に父は頷くと、息子から離れた。
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