妖精と精霊と人間と
 「使者を運ぶ精・ヴァルキリー。天を駆ける馬に乗り、地上で戦死した英雄の魂を、ヴァルハラ宮殿まで運ぶが良い!」
 グリード・スターの言葉を聴くと、ヴァルキリーは天空の宮殿・ヴァルハラより舞い降りた。崩れ落ちたデーモンキング―――いや、ディゴリスの城の跡地に向かうと、崩れ落ちた石で墓石をたてた。すると、そこに、死者の名前が次々と刻まれていった。全ての死者の名が書かれると、ヴァルキリーは両腕を天に向けた。死者の魂は、迷うことなくヴァルハラ宮殿まで運ばれていった。その光景を見ていた全ての民は、涙した。自身の砂となった友、家族、親戚、恋人。自身の屍となった友、家族、親戚、恋人。彼らの全てが、笑顔で逝っていく様に見えた。
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