妖精と精霊と人間と
 デーモンキングとの交戦から、四日目の朝。北斗と明も朝食をとっている所だった。流石に、宿と言うこともあって少しは豪勢だった。パンにスープ、サラダもあった。
 「どう?傷のほうは。」
 「ああ、大丈夫だぜ?とりあえず・・・新しい装備買わねぇとな。わりぃな、この前買ったばっかりなのによ。」
 明がそう言うと、北斗はフッと微笑んだ。気にしないで良いよ、とでも言うかのように。
 朝ご飯を食べ終わると、二人は防具屋に向かった。人間の手で作られた防具が、所狭と並んでいた。そこで北斗は、店長にこうたずねた。
 「ねえ、店長さん。ここで、一番強い防具は無い?僕の相方にプレゼントしたいんだけど・・・お金なら、いくらでも出すよ?」
 北斗はそう言ってにっこりと微笑むと、ポケットから金の塊を出した。すると、店長は家の奥から銀色に光る鎧を持ってきた。ふちを金で装飾されたシンプルなシルバーメイルだ。そして、装着するだけで風邪の精・ジンが扱えるようになるという、鳥の羽が装飾された頭全体と顔の両側を覆う風陣の兜と、この世界最強の戦士・イサーリアの愛用武器を作ったとされているジャンクの唯一の防具作品とされる、銀色に光り輝き中央に蛇が装飾されたシルバーナイトシールドを購入した。
 「どう?明。」
 「ああ、これで良いぜ。ありがとな。」
 明はそう言って、北斗からそれを譲りうけた。明は、買ったばかりのそれを肌に装着した。ぴったりだ。鎧は、まるで明を待っていたかのように、先程よりも美しく光り輝いていた。
 「じゃあ、次ぎは剣かな?」
 「ああ、そうだな。」
 二人はそう言うと、次ぎは武器屋に向かった。武器屋につくと、明はすぐに自分に見合う剣を見つけた。それは柄の部分が赤く装飾され、柄の先に大粒のルビーがはめ込まれたロングソードだった。
< 41 / 218 >

この作品をシェア

pagetop