妖精と精霊と人間と

第六話 街で、森で。

 いつのまにか、日は高く昇っていた。ブラウニーが朝食の準備をしている。ラーグウェイは弓と剣の整備をしているようだ。美香は重い体を起こした。昨日の一戦。明と北斗の事が気になる。心配で仕方が無い。けれど、信じているからこそ眠れたようなものである。
 「おはよう・・・」
 美香は、まだ眠い目をこすりながらブラウンの傍に行った。
 「おはようございます、美香さん。そろそろ出来ますから、待っていてくださいね。」
 そう言って、ブラウンはにっこりと微笑んだ。
 「昨日はよく眠れたようだな。」
 ラーグウェイは美香の隣に座ってそう言った。どうやら、弓と剣の手入れは終わった様だ。
 「うん、大丈夫だったよ。ラーグウェイが、手ぇ握っていてくれたから。」
 そう言って、彼女はにっこりと微笑んだ。
 「・・・・そうか。」
 ラーグウェイが照れながらそう言うと、美香は再び笑顔になった。
 「お二人とも、出来ましたよ。」
 ブラウンはそう言って、スープの入った皿を渡した。ジャガイモとミルクのスープだ。味は、それなりに美味しかった。こんな事を本の外の世界でもやりたい、そう本気で美香は思っていた。皆で手作りのお弁当を持って山に昇って、テントをはって、河で遊んで、お昼ご飯食べて、そんな事をしてみたいと思った。ご飯を食べて少し経ってから、三人は村に向かって出発した。
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