妖精と精霊と人間と
 「エルフと人間風情が何の様だ?」
 明が掴みかかろうとすると、ノースがこう言った。
 「イヴァルディの息子・ドワーフの民よ!我等に力を貸してくれ!」
 「やだね。」
「なんで、エルフと人間なんぞに・・・」
 そう言って、何人かのドワーフは渋っていた。モリアの鉱山は西の彼方に最も近い。五つの丘と山と川を越せば、すぐにそこへ行けるのだから。なので、何故北斗達がここに来たかくらいは見当がついているはずなのだ。だが、今のドワーフにそんな気力は無いに等しいのだ。
 「それでは、私達はオークの村にいます。私達と共に行きたい人だけ、オークの村に来て下さい。」
 ブラウンがそう言うと、五人は外に出た。ギーッと音をたてて、扉が再びしまった。
 「ねー、北斗。ドワーフって、非協力的だね!すっげーヤな感じー。」
 美香がそう言うと、北斗はこう言った。
 「彼等も、彼等なりに迷っているんだよ。しかたないさ。」
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