妖精と精霊と人間と
 「行くぜ、デクノボウ!お前は俺様には勝てねぇんだよ!勝つのは、俺だーっ!」
 明はそう叫ぶと、デントに向かって走って行った。今までとはその速さは比べ物にならない。【速きこと風の如し。】そう、今の明はまさに風だ。風の様に速く、刃の様に鋭い。
 「風の精・ジンよ、我が剣にまとわれ。そして・・・目の前の敵を切り裂け!カマイタチ!!」
 明がそう叫ぶと、辺りに静寂が走った。明がデントの真後ろに居たのだ。明がその剣を鞘にしまうと、デントから血しぶきが上がった。デントは、その場に倒れこんだ。
 「やるな、明。」
 ラーグウェイはそう言って感心していた。周りでは、驚きと興奮で歓声が漏れている。
 「やったな、明!お疲れ。」
 「ああ、美咲のおかげだぜ・・・ありがとうよ。」
 「良いってことよ!気にすんな。」
 美咲はそう言って笑うと、目を閉じてその目を開いた。瞬間、明はその場に倒れこんだ。
 「また・・・ですか?」
 ブラウンがそう言って明に駆け寄った。明は、身体のいたる所から出血していた。
 「流血馬鹿だな・・・」
 ラーグウェイがため息混じりにそう言うと、皆は苦笑いをした。
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