妖精と精霊と人間と
 エントはそう言って、北斗やラーグウェイ達をまじまじと見つめた。千年前の争い以来、精霊や妖精達はこの森から出ていない。人間は進入してくる事があるが、精霊や妖精は自ら出て行く事は無い。ありえなかったのだ。
 「エント。ホビットのバンクスを知らないか?」
 「お前さんは、ラーグウェイだな。なつかしい。親父どのにそっくりだ。眼の辺りは姉貴どのとそっくりだ。」
 その言葉に、ラーグウェイの目つきが代わった。やっと、姉の消息がわかる。そう思ったのだ。
 「樹木の神・エントよ!姉さんは!姉さんはどこに・・・」
 「お前さんの姉貴どの・ラージェルは、紅い星のふもと・沈黙の森に向かった。そして、ダークエルフになった。」
 ラーグウェイは、自分の耳を疑った。まさか、本当に姉が沈黙の森に向かい、ダークエルフとなっているとは思いもしなかった。いや、信じたくなかったのだ。
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