妖精と精霊と人間と
 その日、皆は二階の寝室で眠った。天蓋付きのベッドは美香とリデロ、普通のベッドにはデント・北斗・ラーグウェイ、そして、二段ベッドには明とブラウンが寝ることになった。
 寝る前に、ラーグウェイは開け放した窓を閉めに向かった。四星の、一つの輝きが消えようとしていた。北の空に輝く黄色い星は、神々しく光っていた。新しい王の誕生を待っているかのように。東の空に輝く銀色の星は、いつもよりも更に光を増していた。人間達が寝るのを待つかのように。西の空に輝く紅い星は、いつもよりも広範囲を照らしていた。自分達の領地を照らすかの様に。そして、南の空に輝く黄緑の星は、細々しく光っていた。まるで、自分達の時代が潰えるとでも言うかのように。
 「エルフの終わりか・・・あるいは・・・いずれにしても、俺は消えるな。」
 ラーグウェイはそう呟くと、薄いレースのカーテンを閉めた。
 「どうかしたのか?ラーグウェイ。」
 北斗がそう言うと、ラーグウェイはただただ苦笑いをして首を横に振った。
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