妖精と精霊と人間と

第十二話 バンクス。

 その日の朝、皆は計画の最終確認をしていた。そして、正午。皆は、本拠地へと攻めこんだ。ラーグウェイがシルフを召喚し、美香がウンディーネを召喚した。そして、その強風と水飛沫が織り交じった中を、領地内へと進んで行った。意外にもその中は、洞窟にしてはシッカリしているが、入り組んでいたり、パイプが突き出ていたりする個所があった。ノームの案内によって、案外早く地下牢へと着くことが出来た。
 そこには、腕と足にかせをつけられ身動きの取れない者達が大勢いた。その中で、一番奥の牢獄に、人間の子供くらいの背丈の生き物がいた。ホビットだ。その髪と瞳はオレンジの混じった茶色で、服は丈夫な皮で出来ており、青色のマントをはおり、ロウブーツをはいていた。しかし、その身体は天井から鎖につながった手錠によってつるされていた。
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