偽りと君
エレベーターの電光掲示板が
5階を告げる。
あいつは
それにちらり、と視線を向けた後
ようやく口を開いた。
「俺にお見合いしろって言うのか?」
「いいじゃない 一目惚れするかもしれないし、意外と合うかもしれないじゃん?…」
「だからって………
目の前で彼女が他の男と食事に行くの 黙って見てられるほど心広くないんだけど…」
あくまで彼女という言葉には触れずに返す
「何?どうかした?いつもと違くない?」
静かにエレベーターが開く 扉を背に立っていたあたしが振り向こうとすると
手首を掴まれ頤を上向かされ
キスされていた。
触れるだけじゃない…いつもと違う何かを求めるような そんなキス