偽りと君
「こっちで自己紹介してくれる?」
さくら先輩の声にはっとした人は少なくないだろう。
「はい!!」
声まで可愛いとかもうなんなんだ?
「はじめまして…栗原和奏です
こっちに引っ越して来たばかりなので
分からないことも多いと思いますが
よろしくお願いします」
とりあえずということで全員が自己紹介をする。
「じゃあそういうことで
解散していーよ!!」
さくら先輩の言葉を合図に
3分の1が栗原さんのところへ集まり、
残り3分の2は帰るなり、おしゃべりに興じるなりいつもの風景を取り戻し始めた。
かばんを持ったあたしに渚が声をかけてきた。
「美琴帰るの?」
「うん。そのつもり渚は?」
「和奏ちゃんと話してくる~」
「じゃあ…また明日ね」
……とは言ったものの、特にいくところは無かったりする。
とりあえずウィンドウショッピングでもしようかと、駅ビルに足を向けた。
と肩に手がかかり、馴れ馴れしい男たちが話しかけてきた。