君と歩く未知
 アタシは心の中の糸を切った。
カズくんの目を見てアタシは言った。
「なれるわけないよ…!アタシは…カズくんと一緒じゃなきゃ…幸せになんてなれないよ…!」
カズくんはアタシの言葉に驚いていた。
アタシの手を離してうつむいてしまった。
アタシはカズくんのことをじっと見た。
 アタシはハッとした。
…カズくん泣いてる。
アタシはカズくんの背中を撫でた。
「それは違うよ、弥生…」
カズくんはアタシに優しく諭すように言った。
アタシはそのカズくんの声に耳を傾けた。
「だって…弥生はオレと一緒にいても、幸せにはなれなかったじゃねぇか…」
アタシは首を横に振った。
「…弥生は、オレの将来を考えて赤ちゃんを堕してくれたんだろ…?」
カズくんは苦しく搾り出すようにして言葉を出した。
アタシはカズくんに向かって怒鳴った。
「そんな風に言わないで!…カズくんは自分を追い詰め過ぎだよ…。…お願い!学校辞めるなんて言わないで!…カズくんと付き合えなくても、友達でも良いから…ずっと一緒にいたいよ!アタシも…アタシも今でもカズくんのこと大好きなんだよ!」
カズくんは驚いたように顔を上げて一言言った。
「…ありがとう…」
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