君と歩く未知
心が晴れた日々
 海へ行った日以来、アタシたちはいつも一緒にいるようになった。
学校での休み時間も、お弁当を食べる時も、放課後も、二人で一つ。
夏が本格的にやって来て、なかなか夜がやってこないことを良いことにして、アタシたちはいつまでも美術室に入り浸るようになった。
それでこの間は先生に怒られたんだけど…
「何でこんな遅くまで校舎に残っているんだ!しかも男女二人で!けしからん!」
そんな風に先生が怒鳴り散らすから、先生の顔はすっごく歪んでいて、いつもの不細工な顔がもっと不細工で…怒られている最中ずっと笑っていたもんだから、もっと怒られて家庭連絡…
 そんなこんなでお母さんにアタシの悪行がバレてしまった。
だけどお母さんは特にガミガミ言わず、
「ほどほどにしときなさいね」
だけ言った。
どうして叱らないのかなって思ったりもしたけど、お母さんはアタシが明るい性格になったことをすっごく喜んでいるからだと思う。
そして、きっとアタシの性格を変えてくれたのはカズくんだって気付いてるんだ。
 
 そしてアタシはそんな良い環境で新しい生活を始め、チャット嬢のバイトをやめた。
もちろん、カズくんにはチャット嬢のバイトをしていたんだと告白しておいた。
するとカズくんは予想外にケラケラ笑い、
「弥生は風俗な仕事にまで手を染めとったんか!」
と言って、アタシの髪をかき混ぜた。
大学進学の資金にするって言ってたバイト代だけど、まだ本当に大学進学したいかどうかわからないし、もしも大学進学するとしても、チャット嬢のバイトで稼いだお金でとても勉強する気にはなれないだろう。
だから、チャット嬢として稼いだ総額50万は半永久的に通帳の中だろう。


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