君と歩く未知
 「ごめんなさい…」
アタシは精一杯の思いを込めてそうつぶやいた。
カズくんはアタシの手を強く握り直して言った。
「仕方ないな。今回は許す。…でも、次に嘘ついたら許さないからな。もう、過呼吸になるくらい自分を追い詰めるなよ…オレ、何でも相談にのってやるから。な?」
そう言ってカズくんは照れたように笑った。
アタシもホッとしてカズくんに合わせて笑った。
「ありがとっ!今日はカズくんが来てくれて良かった…なんか気持ちが楽になった」
アタシがそう言うとカズくんはアタシの顔に顔を近付けた。

 それは、最高に温かいキスだったよね。
カズくんはもう忘れたかな…
アタシは決して忘れられないよ。
できることなら、今のアタシはあの頃のアタシに戻りたいって思ってるの。
それで、もう一度全てをやり直すんだ。
そんなの無理だよね。
わかってる。
叶わないってわかってるからこそ、アタシは神様に祈るの。
…やり直したいよ。
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