君と歩く未知
 体中に優しくキスを落とされ、アタシの意識は遠のく一方。
相変わらず体の震えは止まらない…
何も考えられない…
こんな自分が怖いよ…
悲しくはない、嫌なわけでもない。
でも、アタシの目にはなぜか涙が溜まっていた。
そして、その涙で視界がぼやけ、カズくんの顔さえわからなくなった時、カズくんがアタシの体から離れた。
アタシは目を荒く擦った。
 …カズくんは心配そうにアタシを見つめていた。
「…ごめんな」
カズくんはそうつぶやいて、アタシの頭を撫でた。
アタシは事態が把握できず、首をかしげた。
「弥生、ずっと震えてたぞ…ごめんな、怖かったか?」
アタシはカズくんの言う意味がわかって、口を開いた。
「…う、ううん。そうじゃなかったの。なんかね、いざとなったら、ちょっとビビっちゃって…ダメだね、アタシ。アタシこそ、ホントごめんねっ!」
アタシは慌ててカズくんに言った。
カズくんは、アタシを優しく抱き締めた。
「…オレ、決めた。オレが、ちゃんと責任が取れるような大人になるまで、弥生に手は出さない」
アタシはちょっと意味がわからなかった。
「…弥生と結婚して、子どもができても…ちゃんと産ませてあげられるようにする」
アタシは、やっと意味がわかった。
カズくんはアタシと結婚して、ちゃんと環境が整ってからHするべきだって言ってるんだ。
そうだね。
…もしカズくんの子どもができたら絶対産みたくなるもん。
でも、そうしたらアタシ、学校辞めなきゃなんない。
大学にも行けなくなっちゃうよね。
カズくんはアタシのこと、ちゃんと考えてくれてたんだ。
< 83 / 202 >

この作品をシェア

pagetop