優しくないっ、優しさを感じない!


急に聞こえてきた声に、思わずビクッと身体が反応した。それは潜り込んでるあたしからは見えない、でもすぐ傍から聞こえてきた声だった。


「もう起きたんだろ?おまえはいつまでここに居る気だよ」


そして極めつけに「迷惑だから早く出てきなよ」と、あたしに告げたその声は、完全にアイツのものだとあたしは分析する間も無く理解した。


「……なんで進藤が居る訳」

「いいから出て来なって」

「変じゃん、可笑しい。頼んで無い」

「だろうね。でも頼まれたんだよ」

「……」


頼まれた。


それってつまり、あたしがここに居るって分かってる人に頼まれたって事。

あたしがこんな状況なのが分かってて、でも自分では来れない人。そして進藤にこんな事を頼める人。


「…レナちゃんの頼みなら何でもやりますって事ですか」

「……は?」


…顔を出してないから今、進藤がどんな顔をしてるかなんて分からない。だけどあたしの言葉に驚いたんだろうって事くらいは、聞こえてきた声から察する事が出来た。

でもその言葉に驚いたのは進藤だけじゃない。あたしだって驚いたんだ。あたしだってこんなの……だけど、抗えない。もう一つのあたしの想いが、まだまだ続く言葉に乗って押し寄せてくる。


< 153 / 310 >

この作品をシェア

pagetop