優しくないっ、優しさを感じない!
何とか放課後グラウンドコースから外れようと必死に理由を考えるあたしの言葉を、やんわりとレナちゃんが遮った。
ハッとしてあたしは、必死だった思考の方から意識をレナちゃんの方へと切り替える。するとそこで見たのは、なんだか優しげで、それでいてどこか寂しげな…彼女の表情。
「レナちゃん…?」
思わず、そっと名前を呼んでしまった。なんだか様子が可笑しいなと思ったから。
すると、そんな私と目が合うレナちゃんはまたニッコリと笑って、「実はね、」と、その口を開く。
「私知ってるんだ、ヒロちゃんの事」
「え…?」
何だ?一体、何の事だろう。
あたしの事?実はって事は、あたしがまだレナちゃんに知られて無いと思ってるってこと?
あたしがまだ、レナちゃんに言ってない事…?
「…ヒロちゃん、私と別れた後校舎に戻ってるんだよね?中村君の練習を見るために」
!
なっ、ななな…っ
「なんでそれをっ⁈ 」
「…ごめんね。本当は一緒に行ってあげられたら良かったんだけど私、やたら塾があるから…知ってたのに黙ってたの。ごめんね…」
「え?い…いや、いいよいいよ、そんな気にしないで、謝らないでレナちゃん!あたしがただ一人で行く勇気が無くてこっそりやってることだから、」
「うん。だから今日は二人で行こう?絶対行こう!」