これが、あたしの彼氏です。【完】
その日から、早くも4日が過ぎた。
意外にもあの日鉢合わせてしまったギャル女とは、一切言葉を交わしていない。
――――だから、今日も何事もなく、一日が過ぎて行くんだろうと思っていた。
「心、次体育だよ。急がないと」
「あ、うんっ」
6時間目の体育に参りながらあたし達は体育館へと急ぎ、バスケの授業で練習試合をする事になった。一人お熱い体育教師がワアワアと叫んでいて、生徒の応援もそれなりに大きくなる。
あたしは運動が大の苦手でチームの中に入ってもどうすればいいか分からず身動きが取れずにいると、何故かいきなりあたしの方にバスケットボールがパスされた。
「……えっ」
ど、どうすればいいんだろうとボールを持ってウロウロしていると、「心、こっち!」とゴール前に居る由希が、あたしに手を振ってそう合図した。
そんな有り難い由希の合図に、あたしもコクンと頷いて由希の方へパスを回そうとすると、
――――――ドンッ
「……痛っ」
いきなり、誰かに体を押されてしまった。
「…ちょっと、邪魔なんだけど」
頭上からこっそりと聞こえた低い声。
その場に倒れ込んでしまったあたしがそっと顔を上げると、目の前には敵チームの隣のクラスの女の子が冷たい目付きであたしを睨んでいた。
この学校は二クラス同時で体育をするから何かと手間が多い。
「東雲、大丈夫かっ」
倒れ込んだあたしに気付いた教師も急いでこっちへ駆け付けてきて、「無理なようなら、保健室へ行って来なさい」と指示をしてくれた。
「……っ」
くじいてしまったかもしれない足の痛みより、邪魔だと言われて体を押されたことや、それを周りで見てた女子たちがクスクスと笑っているこの状況の方が、あたしにしては何倍も痛かった。