ユーダリル
二組の日常

 ウィルとユフィール。

 アルンとセシリア。

 兄弟と姉妹同士で付き合っているのは、実に珍しい。

 彼等と彼女達は、全くそのことを気にしていない。それどころか、今の関係を満喫していた。

 アルンとセシリアは、毎日のように仕事に勤しむ。会社の社長であるアルンに、休息の時間は無い。いや、普通の社長の場合、休息時間は与えられるものだが、相手はサボリの常習犯。セシリアが、休憩を与えようとはしない。無論、これに関しては重役達も黙認していた。

 よって、激が飛ぶ。

 だが、最近アルンが変化してきた。社長としての心構えが生まれてきたのか、以前より仕事の効率がいい。お陰で、溜まっている仕事が徐々に量が減っていく。セシリアは、無表情を浮かべている。心の中では、やっと真面目に仕事に取り組んでくれたとホッとしていた。

 だからといって、甘やかすことは絶対に無い。過去の経験上、一度甘い部分を見せると、付け上がるのだ。だから今日の仕事が終了するまで、絶対に休みを与えないことにしていた。

 アルンもそれを知っているので「休みたい」と、口に出すことはしない。ただ、黙々とペンを動かす。両者の間に、愛情感情は存在している。しかし、言葉として明確に使えることは無い。

 一種のプラトニックというべきか、これはこれで満足していた。そして今日も、互いに信頼しながら仕事を進めていく。


◇◆◇◆◇◆


 一方、ウィルとユフィールは――

 仲良く半同棲状態を送っている。

 ユフィールがウィルの自宅で仕事を開始して、二週間が経過した。例の件で、ディオンはユフィールに完全に服従している。そして今では、毎食の手作り料理を楽しみにしていた。庭で、巨大な黒い物体が尻尾をブルブル振っている。黒い物体――ディオンの機嫌は、頗るいい。

 その大きな理由として、ユフィールの料理がウィルが作る料理より美味しいと思いはじめたからだ。流石、ウィルに気に入ってもらおうと料理の勉強をしているだけがある。今では、一通りの料理を作れるまで成長した。それに伴い、ディオンの舌をも唸らせているほどだ。
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