なんで私が芸能人ッ!?
「おはよう、りまちゃん。」
通路を歩いていると声をかけられ振り向く。
「は、春さん⁈ おはよう、ございます...」
まさか春さんに話しかけてもらえるとは思ってなくて、すこしどもってしまった。
「もー、そんなに緊張しないで?私達これから姉妹になるんだから。」
「あ...はい‼︎ よろしくお願いします。」
そう言ってお辞儀すると、春さんはふんわり微笑んだ。
「えっと、その...私、ずっと春さんに憧れてたんです。」
そんな優しい春さんについ調子に乗ってしまって。
「あら、ありがとう。」
でも優しく返してくれる春さんに、
「今日もほんとに楽しみにしてきたんです! 春さんの自分を一切消した演技を。」
と言ってしまった。
「おいっ、りまっ...」
そう先輩が止めたときにはもう手遅れで、
「自分を一切消した演技...?」
そう呟く春さんの表情は全く別のものになって、すごい威圧感を出していた。
「......?」
どうしたんだろう。
先輩まで諦めたかのようにため息をついてる。
「そっか。りまちゃんには私の演技が一切私がいないように見えるんだ。」
「え.......はい。」
なにかだめだったのかな?
そう思ってると、春さんはにっこり私に笑顔を向けた。
「素人さんの目からそう見えていたなら本当に嬉しいわ。
.......もしあなたがこれからも女優としてご飯を食べて生きたい....、演技をやり続けたいのならどうかと思うけど。」
「えっと....?」
「全くわかってないのね。まあ、今回の監督は北瀬さんだからチャンスはもらえるかもしれないけど。」
「はあ....」
そして去ってしまった春さん。
さすがっていうか、さっきまでと全く違う態度だった。
やっぱり、ものすごく怒らせちゃったのかな......。
「お前も大変なことしたなぁ。」
どこか楽しそうに言う先輩に
「先輩全然大変そうにしてない....。
でも、なんであんなに春さんは怒ってたんだろう....」
「とにかく今回の撮影頑張ってみたらわかるんじゃないか?」
「そうですよね!!春さんも、北瀬監督がチャンスをくれるってっ言ってたし。」
まあ、もとから全力でやるつもりだったけど。
「ああ。........お前のそういう素直なとこ、良いと思うぞ。」
「なななっなんですかいきなり?!」
いきなりそういうこと言うとか本当に心臓に悪い。
先輩に演技以外で性格とか褒められるとなんか....だめ。
「ぶはっ。芸能人のりまさん抜けてますが。」
「もーやめてください!!」
「ぷっ.....まあ、頑張れよ。」
そういって先輩はぽんって私の頭の上に手を置いた。
ああ、やっぱり先輩の手は元気が出るなぁって思う。
「言われなくてもです!」
「!!........ああ。
じゃあ.....見てるからな。」
「はいっ。」
その言葉がきっと一番頑張れる。
やっぱり先輩はすごいマネージャーさんだ。