ポーカーフェイス
「ほい。家に到着。………明日はオフにしといたからな」
嫌な言い方だが、その尋翔の言葉からは、悠翔への気遣いが見え隠れした。
「…言い方、どうにかなんねぇのか?」
「あぁ?休暇取っといてやった人に対する言いぐさか?それが」
「あーー!そりゃどーも!お気遣いありがとうごぜぇやすー!」
「おめぇこそ、言い方どうにかしろよ」
「人のふり見て我がふり直せ、だぜ?」
「チッ。……偉ぶりやがって」
「兄の威厳ですー。……サンキュな」
部屋のドアノブに手をかけた悠翔が、部屋に入りながら呟いた。
「…はっ」
鼻で笑った尋翔も部屋に入りながら呟いた。
「素直じゃねぇ兄貴を持って、俺ぁ大変だぜ」