先生と私と元彼と。
第七話†噂と嘘
GW明け、
学校に行き教室に入ると
何時もと雰囲気が違っていた。

原因の答えは黒板に貼ってある
一枚の紙を見て、成る程と一人納得した。

その内容は、私と舷のこと。

しかし、それは九割が嘘であった。

よくもまあ、此処まで
色々と想像できるなぁと
感心してしまうくらいだ。

手書きだと字から
特定されると思ったのか
つらつらと並んだ字は
如何にもパソコンで書きましたと
言わんばかりに単調な字だ。

一通り流し読みして
自分の席に座った直後に
舷が教室に入って来た。

黒板を見るなり
思いっ切りしかめっつらした。

そして何時もより
低い声で一言
「誰だ?
こんな馬鹿な貼紙した奴は?」

ぅゎぁ~
舷、キレてるな。

一緒に暮らしてれば、
ちょっとした声色で
解ってしまうのだ。

〔不機嫌な時〕〔上機嫌な時〕

〔キレてる時〕〔拗ねてる時〕

〔眠い時〕〔照れてる時〕

声色一つで直ぐにわかる。

そして今は“キレてる時”の
声色だなぁと一人思った。

私は鞄から
小説を取り出して
続きを読むことにした。

我関せず。

噂の中心にされているが
気にしていてもしょうがない。

面倒事は嫌いだ。

舷はイライラし過ぎて
喋りたくないのだろう。

黒板から貼紙を
剥がして丸めて
ゴミ箱に投げ入れ
カコンと音をたてて
見事に入った。

コントロールいいなぁ。

小説を読みながら
目の端でそれを見ていた。

舷はホームルームもせずに
イライラとしたまま黙って
教室を出て行った。

果たしてクラスの奴らは
舷がイライラしてたのに気付いたかな?

いや、気付いてないな。

そう思いながら、
一時間目が始まるまで
ずっと、小説を読んでいた。

休み時間、
根掘り葉掘り聴いてくる
クラスメイトを無視した。

その野次馬根性は
何処から湧いて出てくるのか
私にはさっぱり解らない。

結局、一日中
あの貼紙の真意を
確かめたがる質問ばかりで
舷の授業がなかったのも
合間って全て私にしわ寄せがきた。

全て無視してたとはいえ
精神的にかなり疲れた。

『ただいま』

誰も居ないが
習慣でついつい言ってしまう。

『はぁ~ 疲れた』

馬鹿な奴らの相手ほど
疲れるものはない……

二時間後、舷が帰って来た。

『お帰り』

キッチンで夕飯の支度をしながら
リビングに入って来た
舷に声をかけた。

私はご飯を食べながら、
愚痴っていた。

『悪かったな』

いや、舷が謝ることじゃない。

『私こそ、
疲れてるのにごめん』

二人で謝りながら笑った。

多分、
明日もあの貼紙のことで
教室はザワつくだろうけど
気にせずにいようと思う。

やっと手に入れた
平穏な生活を
乱されるのは嫌だ。

『椛、
何かあったら隠さず言えよ』

いつの間にか
隣に居た舷に頭を撫でられた。

『うん』

あの頃とは違って
今は色々話せる相手がいる。

それがどれだけ幸せか
きっと、誰にも解らない
私だけの気持ち。

そんな幸せを
噛み締めながら
舷と並んで片付けをした後
それぞれ、お風呂に入り
同じベッドで眠りにつく際に
この幸せが一生
続きますようにと
願いながら目を閉じた。

**翌日**

やっぱり、昨日に引き続き
あのことへの質問ばかりだった。
前後左右から
発せられる馬鹿な質問。

貴重な休み時間を
邪魔しないでほしい。

お昼休みは屋上に
行こうと決めた。

**お昼休み**

見える場所で食べると
誰かに見つかるから
死角になってる所で
一人でお弁当を
広げて食べている。

んん~気持ちいい。

今日は天気がいいから
屋上は最高だね。

予鈴が鳴って屋上を出た。
これなら、
質問しにくる奴は
居ないと思ったから。

まぁ、
五時間目は舷の授業だから
多少遅刻しても
そこまで怒られないんだけどね。

案の定、
授業直前で
入っ来た私に
質問してくる奴らはいない。

今日最後の休み時間は
昨日とは違う
小説を読んで無視した。

六時間目は自習だったから
そのまま続きを読んだ。

チャイムが鳴る前に
読み終わってしまった。

昨日よりは有意義に
過ごせて満足だ。

舷のホームルームが終わり、
私は誰かに捕まる前に
そそくさと昇降口まで急いだ。

学校を出て、家に向かった。

夕飯は何がいいかな?

冷蔵庫に残ってる物を
確認しながら献立を考える。

一休みしたら夕飯作らなきゃね。

今日は早めに帰って来た
舷と一緒に食べて、
何時ものように
一日の出来事を話す。

明日は金曜日。

土日を挟めば
少しはほとぼりが冷めるだろう。
三年にもなって皆余裕だなぁ。

噂の真意なんて
確かめてないで勉強
すればいいのに。

暇人たちはよっぽど
受験に自信があるんだなぁ。
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