大工さんに恋していいですか?おまけ追加中
「エ?…貰ってもいいんですか?」

私の言葉に、笑顔で頷く。


「いつも、お世話になっているからねえ」

そう言ったおばあちゃんは、私にそれを手渡した。


「ありがとうございます」

「また、相談にのってね」

「もちろんです」

おばあちゃんは、自分の家に帰っていった。

私は貰ったホウレンソウに視線を落とす。

…まだ、土の着いた、取れたてのホウレンソウ。

思わず、ニコッとなった。


「…信頼されるっていいですね」

「・・・え?」

突然の言葉に、驚きつつそちらに視線を向ける。

…顔が、赤くなった。


・・・すぐ傍に、…大工さん、いや、博さんがいて。

「…もう、帰りですか?」

「はい」


「気をつけて」

「はい、・・・『博さん』は、まだですよね?

お仕事頑張ってください」

私はその場から小走りに逃げた。

…博さんなんて言ったら、気持ち悪がられたかも。

そう思うと、その場にいられなかった。


…私がいなくなるまで、博さんに見つめられていたなんて、

気づきもしなかったけど。
< 11 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop