鳥籠の死神
「自分より大切なものがある。ただ、それを守りたいだけだ」

「自分より他の何かを選ぶか。愚かな死神よ、自分を犠牲にして他を守るとは」

「――本当に。愚かなのはどちらだろうな?自分を犠牲にするしか方法がないから、それしか選べないからそうするだけの事」

「死神は綺麗事だけだな。それで、何か得られるのか?己の幸福と命を捨ててまでする事の価値があるとは、とうてい思えぬが」

「好きに言えばいい。例えオレの言った事がすべて綺麗事でも、間違っていたとしても、愚かな人間の生き方よりずっとマシだ」



この時はじめて、騎士の青年は死神の強く揺るぎない想いの深さを、知りました。



王は顔色をわずかに変えて、ここを出ていきました。



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