先輩上司と秘密の部屋で
門倉の必死すぎる形相が頭に蘇ってきても、今の杏奈には笑うことが出来ない
隼人は優しく朗らかな美男子で、嵐士は無愛想で強引な男前。
男女のカップルだったら間違いなくお似合いのふたりだろう。
現に男同士でも、これだけ違和感がないのだから。
冗談だと一蹴出来たはずの自信が薄れていくのを感じ、杏奈は思いきり首を横に振る。
(きっと、初日の疲れがたたったんだよね……。だからそのせいで、変なことを考えちゃうんだ)
自分にそう言い聞かせながら、杏奈は目の前のふたりをじっと観察していた。
「おい隼人、しっかりしろ」
嵐士はぐったりしている隼人に肩を貸し、ソファーから立ち上がらせている。
自分も手伝わなければとそばに寄った杏奈は、隼人の反対側の腕にしがみついていた。
「……ねぇあんな~、今日一緒寝よ」
隼人はトロンとした目を向けながら、擦り寄って来た杏奈の額に頬を摺り寄せている。
下がっていろと言われたのに、言うことを聞かなかったからだろうか。
隼人を挟んだ向こう側から注がれる鋭利な視線に、杏奈は肩を震わせていた。