ラブソングは舞台の上で

「……なるほどね」

晴海の言っていることは、正解だ。

私たちはミュージカルの成功に力を注ぐべきであって、周りや後先のことを考えずにラブラブしている場合ではない。

私たちは主演俳優なのだ。

誰よりも大きな責任を背負っている。

だけど、想い合っていても成就させることができない悔しさは、どう処理すればいいのだろう。

ああ、そうだ。

飲み込むんだ。

私はそれが得意だったはず。

私の反応が不満だったのか、晴海は仏頂面で私を見る。

「明日香こそ、俺のことどう思ってんの」

そんなのもうわかっているくせに。

この先結ばれないのなら、気持ちを確かめ合うなんて虚しいだけなのに。

だから真面目に答えるのは癪だ。

「案外マジメだなって思ってる」

「そうじゃなくて、もっと恋愛的な意味で」

「教えない」

「何だよそれ。ズルいな」

ズルいのはお互い様だ。

卒業してこの町を去り、新しい生活を始めるのはあんたの方じゃないの。

私の気持ちに応えられないのなら、そんなこと聞かないで。

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