ラブソングは舞台の上で
さり気なく、一番聞きたかったことを口に出すことに成功した。
晴海はしばらく苦い顔をしたまま固まった。
私がこのひとつに託した様々な質問を嗅ぎ取って悩んでいるのだろうか。
私をどう思ってるの?
恋愛感情はあるの?
私とどうなりたいの?
キス以上のことができる関係?
それとも劇団の仲間のままでいたい?
沈黙が伸びるほど落ち着かなくなって、コーヒーをすする。
晴海が声を出したのは、それから更に数秒後だった。
「わかんない」
「逃げないでよ」
強く言うと、諦めたように再び口を開く。
「明日香のことすげー好き。他の男に取られたりしたくない」
自信なさげにそう告げた晴海。
聞きたかった言葉が聞けて、胸が幸せな悲鳴をあげる。
私も、と言いたかったが、晴海は私の反応を待たずに話を続けた。
「でも、俺はもうすぐ卒業してこの町からいなくなるから、彼女とか付き合うとかは、考えてない」
現実を突きつけられ、ときめきが一気に治まった。
はじめからわかっていたことだけど、実際に晴海の声で聞くとショックが大きい。
「それに、今俺たちが最も優先すべきはミュージカルだろ。明日香とは、良い舞台を演じるための相棒でありたい。だから、その後のことを考えるのは千秋楽以降にしたいと思ってる」