ラブソングは舞台の上で
「守るって……」
ともちゃんまでそんなこと言う。
この劇団の人は、みんなこういうクサい言葉が好きなのだろうか。
セリフで言い慣れているとか?
「さっきだって、明日香ちゃんのこと必死で推してたでしょ。晴海ちゃん、カッコよかったな〜」
サラッと「カッコいい」が言えるなんて、スゴい。
照れくさいという感情はないのだろうか。
私は甘いカクテルを飲みながら、タカさんや他の男性陣にイジられまくっている晴海に目を向けた。
両方の鼻の穴にタバコを突っ込まれている。
見た目だけは好きだったのだが、もはやカッコいい要素などどこにもない。
「あれが?」
「ふふふ。鼻にタバコ突っ込まれても、晴海ちゃんって結構モテるんだよー」
「ふーん」
「実は今年の夏にもね、晴海ちゃんを取り合ってた女の子二人のせいで劇団の雰囲気が超悪くなっちゃって。舞台が終わった後、二人とも高田さんにクビにされちゃったの」
「そこまでモテるの? あいつが?」
そういえばこの間見せてもらったDVDに写っていた女の子、見当たらない。
クビになったうちの一人だったんだ。
晴海のこと、好きだったんだ……。