ラブソングは舞台の上で

「ミュージカルの練習って結構ハードだから、普段はあんな晴海ちゃんでも、真剣な顔して練習に打ち込むの。ギャップ萌えってヤツかな? 男の汗に弱いタイプの女の子なんか、イチコロだよ」

「なるほどね……あの体だしね」

数日前に見た彼の体を思い出す。

どこに出しても恥ずかしくないくらい、キレイな体をしていた。

例えば夏場、ハードな練習で滝のように汗をかいたりして、堪えかねた晴海が着ていたTシャツを脱いだりすれば……。

女ならコロッといってしまうかもしれない。

というか、私も危ないと思う。

想像しただけで少し興奮する。

ふと我に返ると、ともちゃんが驚いた顔で私を見ていた。

「ん? なに?」

「明日香ちゃん、見たの? 晴海ちゃんの体」

「え?」

しまった、余計なこと言っちゃった。

「ごっ、ごめんね! そんな関係だって知らずにこんな話しちゃって」

「ちがうちがう! 全然そんな関係じゃ……」

酒が回っているのもあって、顔が燃えるように熱くなってきた。

きっと真っ赤だと思う。

こんなんじゃ、全然説得力がない。

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