俺様社長の言いなりです
「ええ。悪い人ではない気がします」


ほおを引きつらせつつも社長に笑い返すと、


「そういうことか……」


宮田さんが小さな声で何か呟いた。


「なんて言いました? 」


気になって聞き返すも


「はい。スイートだから広いですよ」


宮田さんは私を完全に無視して社長にホテルの部屋のカードキーを押し付けるよつに渡すと、フロントの奥の方へと入って行ってしまった。


「あの人……なんか変わってますね」


宮田さんが行ってしまった方を見つめると


「まあ……それが和樹だから。だいたい社長自ら接客してる時点で変わってるよな。まあ、行くよ」



先程のことを特に気にする様子もなく私の腕をガシッと強く掴むと、エレベーターまでスタスタと歩き始めた。
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