ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜


柚姫ちゃんにワッフルを持ってくように頼み、客が待つというホールに向かう。

真っ先に目に入ったのは、田村と話す恵里奈の姿。
少し顔が引きつってる気がするのは気のせいじゃないと思う。

あんな顔させたくないのに…

誰だよ、恵里奈がいる時に店に来る奴は。
チッと、舌打ちをしたとき。


「剛!」


懐かしい声が俺の名前を呼んだ。

ドクンッと胸が波を打つ。

まさか…そんなはずはない…
だってあいつは…京子は…

日本にはいないんだから…


「っっ」


ドクドクと全身が脈を打つ中、ゆっくりと振り返ると、その姿に思わず息を飲んだ。

そこにいたのは、8年前と何ら変わらない、俺が恵里奈以外で唯一将来を考えた人物ーー。

里田 京子(サトダ キョウコ)だった。


「8年振りね。元気にしてた?」

「どうして日本に…?」

「今日の朝、帰国したのよ。日本第一号店を任されたから、そこが軌道に乗るまでは日本にいる予定。帰国して一番に会いに来たんだからね?」




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