ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜


俺と京子は、専門学校の同級生だ。
ハルも含めグループで仲が良かったが、京子とは最初喧嘩ばかりで犬猿の仲と言われるほどだった。

昔から口が悪い俺は、怖いだの冷血人間だの言われ、異性の友達なんて一人も出来たことがなかった。

だけど、京子は俺がいくらきついことを言っても、泣かずに言い返してきて。

自分の意見ははっきりと言うし、絶対に泣かない。
悲しいこと、悔しいことがあっても、人前では弱音を吐かない。

そんな強い女だった。

パティシエになりたい、という気持ちは誰よりも強く、スイーツを作る姿は男の俺から見てもかっこよく輝いていた。

そんな京子に俺は憧れ、そして次第に惹かれていったんだ。


視界の端で、恵里奈がこっちを見てるのがわかる。
だけど、自分の頭の中が今の状況を把握するのに必死で、気を遣ってやることが出来ない。


「京子っ⁉︎京子なの⁉︎」


スタッフルームから出てきたハルが、京子の姿を捉えると「きゃあ」っと奇声を発して駆け寄る。


「ハル〜!久しぶり!相変わらずの乙男っぷりね!」

「そんな京子も全然変わってないじゃな〜い!相変わらず可愛いんだから!」


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