キスまでの距離
覚えることが、毎日山盛り過ぎて、どんどん忘れてしまいそうな気がしてならない。書いても書いても忘れてしまいそうでこわいけれど、ひとまずやるだけやらねば。

今日の新聞をセットしたり、シェルフリーディングしたり、大野先生からレクチャーを受けているうちに、あっという間に午前が終わった。

大野先生、今日は午後に会議か…

昼休み後、一人の図書室で、今月中を目処にと目標設定された、寄贈図書の複本データチェックに取りかかった。やや古い図書が中心だったから、出版年や版違い・刷り違い、あとがき等を注意しながら、集中して取り組んだ。

ブックトラック1台分を終えて時計を見ると、3時を過ぎていた。

伸びをして、トラックの中身を入れ替えて、一度休憩をすることにしたところで、大野先生が戻ってきた。

「お疲れ様。お茶でも淹れますか?」
「あ、私がやります。」

と、安心したその時だった。
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