あなたがいなければ。【短編小説】

『これからどこに行くの?』
『内緒』
『ケチ。』

しばらく歩くと、島が見えてくる。

『うわぁ!八景○○ーパラダイスだぁ!初めて!』
『お前は子供か。』
『そうだよ!まだ子供でいたいもん。』
『子供は、独りで来ちゃいけませんよ~。お母さんはどこかな?』
『ひどっ。そこまで子供じゃないし…。』
『子供は手を繋がないと危ないので、しっかり掴まっててね~。』
『ちょっ。恥ずかしいから、離して。』
『やだ。』
『離してってば!』
『じゃあ良いよ。』
やっと離してくれた!
『あっお土産屋さんがある!行こう!』
『あぁ。』


『あっこれが良い!あっ!こっちもいいなぁ~。どっちにしよう。』

ん~
悩む。


ん?

あっ あれ?
晃君は?



しばらくして…

『晃く~ん。うぅ。』

寂しい。
どこ行ったの…。

『ウゥ。』
パッと周りを見渡す。
あっちこっちにカップルがウジャウジャいる。


みんな…
手繋いでる…

私も、離さなきゃ良かった。


『ねぇ。鷹(タカ)?』
『何?十香(トウカ)。』


他の人の声が耳に付く。


『大好き!』


良いなぁ。
何であんなにはっきり言えるんだろう。私もあんな風になれればいいのに…


『俺の方が好きだから。』
『じゃあ私は愛してる!』
『俺も。』
『真似しないで!』

そう言って手を繋ぎ、キスをする2人。

『はぁ』

見ているだけでため息が出る。

みんなが幸せそう。

ポロッ
ポロッ

私って子供だ。
こんな事で泣くなんて…

『うぅぅ。こうぅぅ。』

でもね。


ギュッ

『馬鹿。だから手繋いどけって言ったじゃん。』

必ずあなたは私を見つけてくれる。

『晃君!』

だから私の涙だって魔法のようにすぐに消える。

『これから離すなよ』
『うん!』

そっから一回家に帰る。
これからは、夜の時間!

浴衣に着替えて、待ち合わせ。

浴衣は、青で蝶が下の方で飛んでいて、とてもきれい。

可愛いって言ってくれるかな?


『お待たせ!』
『あぁ。着替えたんだ?』
『うん!浴衣可愛い?』
『浴衣より慧里奈が可愛い。』

ボッ

一気に顔が真っ赤になる。

『行くか。』
『うっうん。』


大変な夜になりそう。


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