私が恋した男〜海男と都会男~
「ありがとうございました。とても良い経験になりました」
時間がかかってしまったけれど、なんとか海藻を取り除くお手伝いを終えることが出来た。
「手伝ってくれて嬉しかったわ。今度は仕事じゃなくて、遊びに来てね」
「是非!」
お婆さんたちに挨拶をして、また田中さんと漁港を歩く。
「漁の準備が終わったら、深夜の出発までは自宅に戻ってご飯を食べるんだよ。で、漁に出て、港に戻ったら競りの準備や店に魚を卸し、漁港の店を開けるという流れが一般的かな」
田中さんから一日の流れを教えてもらい、メモに記していく。
ざっと説明されたけど、ここで働くのって体力もいるし、この仕事が好きだってことじゃないと続かないよね。
私もファッションが好きで本を作ることも好きだから遅くまで残って仕事をすることが出来るけど、そうじゃない人は続かないもの。
実際に、締め切り前の忙しさや不規則な睡眠時間で体力が追いつかなくて辞めていった先輩や同僚や後輩も何人もいたから、働くことって難しいよね。
それに暮らすことも…、お婆さんたちは若い人がいないと言っていたので、私や海斗さんの年齢の人たちがこの街のことを観光だけじゃなくて、生活にも目を向けてくれたら変わっていくのかな?
「婆さんたちも言っていたけど、俺も九条さんが仕事抜きでこの街を好きになってくれたら嬉しいな」
田中さんはにこっとしている。
「好きですよ。初めてここに来た日から、ヒデ子婆ちゃんやヨシハラのお爺さん、さっきのお婆さんたちも太陽のように温かくて、この街が好きです」
漁港から見える海を見ながら、素直な気持ちを告げた。
時折吹く潮風が髪をなびかせて、空を優雅に舞うカモメの鳴き声が聞こえる。
「その気持ち、嬉しいよ。いつでも遊びに来てな。今度は船に乗せてあげるさ」
「ありがとうございます」
「もうすぐ日が暮れるし、海斗に送らせるから、ここで待ってな」
「あ、でも―…って行っちゃった」
田中さんはすたすたと歩いて海斗さんのところに行き、海斗さんは最初は田中さんに何か言っていたけれど、田中さんが海斗さんの肩を何度も叩き、海斗さんはバケツを足元に置いてこちらに来た。
時間がかかってしまったけれど、なんとか海藻を取り除くお手伝いを終えることが出来た。
「手伝ってくれて嬉しかったわ。今度は仕事じゃなくて、遊びに来てね」
「是非!」
お婆さんたちに挨拶をして、また田中さんと漁港を歩く。
「漁の準備が終わったら、深夜の出発までは自宅に戻ってご飯を食べるんだよ。で、漁に出て、港に戻ったら競りの準備や店に魚を卸し、漁港の店を開けるという流れが一般的かな」
田中さんから一日の流れを教えてもらい、メモに記していく。
ざっと説明されたけど、ここで働くのって体力もいるし、この仕事が好きだってことじゃないと続かないよね。
私もファッションが好きで本を作ることも好きだから遅くまで残って仕事をすることが出来るけど、そうじゃない人は続かないもの。
実際に、締め切り前の忙しさや不規則な睡眠時間で体力が追いつかなくて辞めていった先輩や同僚や後輩も何人もいたから、働くことって難しいよね。
それに暮らすことも…、お婆さんたちは若い人がいないと言っていたので、私や海斗さんの年齢の人たちがこの街のことを観光だけじゃなくて、生活にも目を向けてくれたら変わっていくのかな?
「婆さんたちも言っていたけど、俺も九条さんが仕事抜きでこの街を好きになってくれたら嬉しいな」
田中さんはにこっとしている。
「好きですよ。初めてここに来た日から、ヒデ子婆ちゃんやヨシハラのお爺さん、さっきのお婆さんたちも太陽のように温かくて、この街が好きです」
漁港から見える海を見ながら、素直な気持ちを告げた。
時折吹く潮風が髪をなびかせて、空を優雅に舞うカモメの鳴き声が聞こえる。
「その気持ち、嬉しいよ。いつでも遊びに来てな。今度は船に乗せてあげるさ」
「ありがとうございます」
「もうすぐ日が暮れるし、海斗に送らせるから、ここで待ってな」
「あ、でも―…って行っちゃった」
田中さんはすたすたと歩いて海斗さんのところに行き、海斗さんは最初は田中さんに何か言っていたけれど、田中さんが海斗さんの肩を何度も叩き、海斗さんはバケツを足元に置いてこちらに来た。