私が恋した男(旧題:ナツコイ~海男と都会男~)
◆第11章:都会男に食事に誘われる
 宇ノ島の取材を終えて、自分が住む部屋に戻ってきた。

 ルームウェアに着替えて、ベットに寝転がりながらスマホで撮影した写真を見返す。

 やっぱりスマホだから手ぶれになってしまっている写真もあるし、姫川編集長が使っているちゃんとしたカメラの方が写りが良いよなぁ。

 ああいうカメラって高そうだし、私のお給料を何カ月貯金したら購入できるものだろうか。

 画像をスライドさていると、お婆さんたちと笑顔で海藻を取り除いている海斗さんの写真が表示された。

 私と話す時は無表情かムッとしていて、こういう笑顔を見せて欲しいなぁ。

『俺にはこれしかないから……、生きていくにはこれしかない』

 宇ノ島駅での別れ際、哀しい表情をした海斗さんを思い出す。

 姫川編集長と海斗さんが生まれ育った宇ノ島は海や山もあるけれど、そこで生活をするとなったら想像以上に大変なことで、それなのに私は軽々しく「好きじゃないと出来ないですよね」って、最低なことを言っちゃった。

 また取材に行くとき海斗さんに会う可能性が高いけから、そこできちんと謝ろう。

 小さい溜め息を吐いて、スマホをバックにしまって就寝した。
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