私が恋した男〜海男と都会男~
「海斗のこともあるが、先ずはやるべきことは分かっているな?あの時、宇ノ島でお前に季刊の記事を書くことに降りろって言ったのは、お前が見てるのは街とかじゃなくて海斗になりかけてたからだ」

 姫川編集長の言葉に、宇ノ島での出来事が浮かぶ。

『お前、何しにここに来てるんだよ?何を見てんだよ?』

 あの時の姫川編集長はとても苛立ちながら言っていたけど、私の私情を挟んだ仕事に対する姿勢に怒っていた。

「はい、本当にすいません。またやらかしそうになったら、叱って下さい」
「お前、Mか?」
「違います!先に戻って原稿を書きます!」

 私はフロアに戻ろうと歩きだす。

「海斗も素直になれってんだ」

 聞きとれなかったので振り向く。

「何か言いました?」
「何でもねぇよ」
「そうですか…」

 向きを元に戻して、編集部フロアへ戻っていった。
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