私が恋した男〜海男と都会男~
翌日、編集部フロアに入ると、ファッション部の人たちの出勤状態は疎らで、スポーツ部の人たちは机に突っ伏して寝ていたり、床に直接ダンボールを折り畳んでその上で横になって寝ているし、しかもスポーツ部の机の上には栄養ドリンクの空き瓶が数十本もある。

タウン情報部やファッション部と違って、スポーツ部は試合で編集部に帰ってくるのが遅かったりするし、ましてや通常の誌面作りと季刊が重なっている現状はキツイよね。

いつもならスポーツ部の荒木編集長だけがいないけど、今日は姫川編集長も水瀬編集長もいないので、3人は何処にいるんだろう?と疑問符を浮かべながらタウン情報部の自分の席に座り、今日はどの作業から手をつけようかと考える。

私たちタウン情報部は季刊の原稿は出来ているし、次の『Focus』で何処の街を特集にするかの情報を集めようか…、今はどんな街が人気かなぁ。

発売時期を考えると季節的に秋になるから、紅葉が綺麗な場所とか?都心で紅葉を見れる場所は聞いたことがないから、それを特集するのもいいかも。

パソコンのネット回線を使って、調べたいキーワードを入力して表示された情報をメモに書き写していく。

編集部のドアが開いて入ってきたのは姫川編集長で、手にはA4サイズの茶封筒が握られていて、フロアにあるホワイトボードのところに行くと、姫川編集長はホワイトボードの面を編集部のみんなに見えるように動かした。

「季刊の表紙のデザインを幾つか作ってもらった。決めるのは無記名の投票でやる。メモにデザインの数字の番号を書いて、茶封筒に入れろ」

姫川編集長は手で茶封筒の封を切って中身を取り出し、磁石を使ってホワイトボードに次々と季刊の表紙となるデザインの絵を貼り付けていく。

どんなデザインなのかホワイトボードに近づくと、候補の絵は全部で4点あり、1は季刊のタイトルの文字を強調して写真を小さくした物、2は反対に写真を強調してタイトルの文字を小さくした物、3は人物と文字だけの物、4は人物と文字と写真がバランスよく配置された物で、どれも表紙に相応しいデザインで、どれを選べば良いのか迷うな。

編集部のみんなもホワイトボードの前に集まってデザインの絵を見て、どれにするのか迷いながらメモに書き、茶封筒に入れていった。

私も決めなくては…、うーん、今回の季刊は宇ノ島がテーマなので2にしたいところだけど、読者が季刊を手にして中身と写真でどんな雑誌か分かるのかは4かなぁ。

うん、私は4にしよう!
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