私が恋した男〜海男と都会男~
編集部フロアに戻ってからも、今後の『Focus』の展開について話し合う。

ファッション部に在籍していた時は女性の口コミは重要な部分だと思うから、『Focus』でも女性向けを意識した内容の記事を書いてみたいと姫川編集長に提案をするも、本人が眉間の皺をふかーく寄せた。

「どの年齢層の女をターゲットにするんだ?お前と同じ年向けなんざ、他社の雑誌がもうあるだろ」
「はい…」

返事をするしか出来ない自分が情けない…、『とことん言い合えばいいんだよ』…、高坂専務の言葉を思いだし、このまま引き下がっちゃ駄目だ。

「読者の中で、男性の年齢層は幾つが多いんですか?」
「男は30後半が多く、高くて50だ」
「なるほど。独身か家族持ちは、男性と女性のどちらが多いんですか?」

取材や原稿作りに役立てようと『Focuse』のことを細かく質問し、姫川編集長は私の質問攻めに自分の考えや雑誌を作る上での心得を交えながら1つ1つ答えてくれた。

「それじゃあ、明日の撮影込みの取材はお前が主導でやってみろ。進行や指示もだ」
「分かりました。早速、取材先の資料と質問を作ります」
「つまんねぇ質問を作んなよ」
「姫川編集長こそ、写真がピンぼけしないように撮ってください。今の女子大生はスマホで綺麗に撮影しますから」
「ちっ」

姫川編集長は舌打ちして自分の席に戻るのをみて、内心でもう嫌味に負けるもんですかと言った。

よーし、取材の資料と質問を作ろうっと。



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