私が恋した男〜海男と都会男~
「えっと…、表の通りは浜辺もあって賑やかですが、その路地裏には道端は狭いのに雑貨屋や民宿などがあって、また路地裏の先にある定食屋さんや漁港もあるので、海の家のエリアを含めてその地域も取り上げたいと思ってます」

 私は高坂専務に思い付いた事を一気に話して提案をしてみたけど、どんな反応するかな?

「いいんじゃない?俺は九条ちゃんの取り上げたい地域を載せてみてもいいと思うけど、姫川はどう?」
「…………俺も異論は無い」

 高坂専務には反応が良かったけど、姫川編集長はかなり間を開けてから口を開いたから、一瞬不採用されるんじゃないかと思った。

「水瀬のところは?」
「モデルの選考は終えてるし、後は衣装を提供してくれるショップから宅配で衣装を届けてくれるように手配をしているよ」
「次、荒木のところは?」
「明日、荒木編集長が宇ノ島のスポーツ施設で選手とのインタビューを約束をしています」
「荒木の奴に、たまにはこっち(四つ葉)にも顔を出せって言っておけ」
「わ、分かりました…」

 私の話が終わると、姫川編集長は次々と季刊の進捗状況を尋ね、荒木編集長の代わりに出席した副編集長は姫川編集長の気迫に委縮している。

 このまま季刊の発売まで荒木編集長は姿をみせないのだろうかと、私を含めこの会議室に出席している人たちはそう思ったに違いない。 

「この季刊は俺たち四つ葉をもっと知ってもらうために発行するから、皆の力が必要なんだ。スケジュールはタイトだけど、宜しく頼むね。ってことで解散!」

 高坂専務が椅子から立ち上がって手をひらひらしながら会議室を出て行き、会議がもっと時間がかかるのかと思っていたけれど、そうでもなく、スピーディーに終わっちゃった。
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