あなたが作るおいしいごはん【完】
「…い…嫌っ!!」
…嫌だ…怖い…嫌だ。
私は後ずさった。
しかし、この男は目を細めながら
クスクス笑ったまま
また一歩私に近づくと
『…何だよ…さっきから
あんまりだね…その態度は。
…俺は…君に会いたくて
会わなきゃいけないから
あの田宮とか言う…あの教室の
人の良さそうな管理人みたいな人や
菊田とか言う
若いアシスタントになりたての奴や
君が通ってる短大にも電話して
君の所在を教えてもらおうと頼んだり
問い合わせたりしたのに…。
なのに…いずれも
“個人情報には一切お答え出来ない。”と
相手にしてくれなかった。』
そう言って私を直視しながら
『…俺は…君の所在を
ただ知りたかったのに……。』
そう言いながら
また一歩ずつ近づいて来た。
「…えっ!?…嘘…。
田宮さんや…学校に!?」
そんな話は初耳だから
思いがけない事を言われた私は
この男の言動に目を見開くも
近づかれる距離が怖くて
また一歩後ずさっていた。