あなたが作るおいしいごはん【完】

リビングで荷物をおろした彼は

『…お風呂沸かしてあげるから
昼食より先にお風呂入るか?』

と、私にそう気を利かせてくれた。

昨日は行けなかったから

実際にお風呂に行きたい

気持ちもあった事はあったけど

『…お風呂より…やっぱり先に
和亮さんの作ったご飯が食べたいかな。
病院のご飯も意外とおいしかったけど
和亮さんのご飯が恋しかった…。

私…お手伝いするから
先に……お願いしていい?』

厚かましい事を言ってるようで

恥ずかしくなった私に

『…遠慮はいらないよ。』

と、彼は優しく私の頭を撫でると

『…そう言って貰えると光栄だね。
いいよ…先にじゃあ作ってあげるから
萌絵は今日は座って
TVでも見て適当に寛いでてね。』

と、自室へと荷物を置きに行った彼は

リビングに戻ってエプロンをつけると

冷蔵庫から食材を取り出して

昼食の準備を始めてくれた。


しばらくして

キッチンから食欲を掻き立てる

刺激的でおいしそうな匂いが

私の鼻を掠めると

体が待っていたように

私の顔も自然と笑顔になれるような

そんな気持ちになれた。





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