あなたが作るおいしいごはん【完】

彼のボタンを外しながら

私は再び口を開いた。

「…政略結婚なんてとんでもないと
ずっと思って、悩んでいたけど
和亮さんの丁寧な心遣いと
私の頬を撫でる指先が繊細で優しくて
あなたに惹かれてしまう事に
時間なんてそうかからなかった…。」

『……。』

「…あなたの私に対する優しさと
夢を叶えてもなお努力を重ねて
心から仕事を楽しんでいる姿勢と
あなたが作るおいしいご飯の虜になって
本当に心からあなたを好きになった。
和亮さんとなら政略結婚でもいいって
思えるようになった。

…でも、その裏で私は
あなたの本当の気持ちがわからなくて
『好き。』って言えなかった。
父の名前をあなたの口から聞く度に
やっぱり私の事なんて
好きでもないくせにとか卑屈になって
醜い嫉妬もして
本当にこのまま結婚していいのか
あなたに愛されてるのか不安だった…。」

『…萌絵…ごめんな…今まで。』

彼は私をジッと見つめると

謝罪の言葉を呟いた。

「…謝らないでいいです。」

私は首を横に振りながら

ボタンを外す手を止めずに言葉を続けた。


















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