あなたが作るおいしいごはん【完】
でも彼は
私が《手作りクッキー》を
あげた事を覚えてくれていた…。
その事に何だか嬉しくなった。
いつも差し入れて貰っているばかりで
彼に何かお返しをしたいと
小学生ながらにも思っていた私は
当時高校生だった彼に対して
何が喜ばれるのかと考えた。
その結果
料理が得意で上手に作る彼には
到底及ばないけど
彼が昔食べさせてくれた《どら焼き》が
私も家で作れるようになってから
お菓子作りをちょこちょこと
始めるようになり
《クッキー》作りには
そこそこの自信があったから
私は休日には
“チョコチップ”、“アーモンド”等
色んな味の《クッキー》を
たくさん作っておいて
タイミング良く彼が来てくれた時には
ラッピングして直接渡したり
父が秀和社長に会う日は
「…カズ兄ちゃんに渡してって
伝えておいてね!!」
と、父に言付けを頼んだうえで
代わりに渡して貰ったりしていた。