愛すと殺すと


◇◇◇



「布留くん、おはよう!」



最初は敬語で接していた私も、頃合いをみていつの間にかため口に変えた。


「…はよ」


どこか眠そうに、めんどくさそうに彼は言う。

でも答えてくれたことに、胸が擽られたように踊った。


「布留くん、今日は寒いね」

「………」


もちろん無言が帰ってくるのはわかっていた。

でもつい会話を続けたくなってしまう。


「ホワイトバレンタインになるかもしれないんだって」


「………」


「あー、でもこの寒さで体育はちょっと嫌だなあ」


「………」



なんだか、滑稽。

鐘がなり、タイムアウトが近いことを教えた。

いつだって鐘は、時間しか継げないのだ。


時間がくれば離れなくてはならないことが、どんだけ苦痛か知らないで。


「……」


口から息だけを吐く。

なんだか言葉が出たがらなかった。


――ダメだ。


今日の作戦を実行しなくては。

朝、先生と行った打ち合わせ通りに事を進めなければならないのだ。




「ねえねえ、布留くんは彼女さんからチョコもらうの?」




言葉から流れたと同時に、胸がキュッと痛くなった。
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