愛すと殺すと
「あのね、布留くん。
先生なんか見てないで、私をみてて」
目に、いれてほしいの。
汚い私を見えないくらい真っ暗な貴方に染めてほしい。
きっちり結ってある三編みをほどき、汚い私に大変身。
眼鏡の奥の私を。
「…好きなの」
先生が大きく目を開ける。
視線を感じながら、布留くんだけを目にいれて。
高く背伸び。
「私は、布留くんが好き」
ちゅ、と。
汚い汚いと思っていた他人の肌に、己を合わせる。
世に言うキスは思ったより綺麗だった。
「み、みぃ――…」
先生のつまる声が耳を揺さぶる。
「ずっと、ずっと好きだったの。
菅原千晶にいつもいつも甘い顔をさせていて、いいなって思った」
あの、黒くて甘い笑みがほしい。
初めて欲した愛が、どうか実りますように。
「同じクラスなのに振り向いてくれなくて、菅原千晶にしか向けない笑顔を私に向けてほしいっていつも思ってたの。
ねぇ布留くん――ううん、陽くん。
へへ、心の中でずっと陽くんって呼んでた…
あのね、陽くん。
私と付き合ってほしいの」
彼の意識が完全に私を向いているのが、嬉しいなんて。
バカみたいなことを心の中で感じながら。
「菅原千晶と義務感でいて、離れられない?
そっか、優しいもんね陽くん。
私は気にしないよ。
気持ちだけでも私に向いてたら、何にも不満に思わないから、だから――
付き合って、お願い……」